第2回キャリア教育アワード受賞企業・団体のご紹介・インタビュー
第2回キャリア教育アワード(H.24年 1月26日のキャリア教育推進連携シンポジウム内で開催)の結果は以下のようになりました。(受賞インタビューはアワード当日に行いました)
福井商工会議所青年部
この活動は、平成17年度より実施しているプログラムで、年々進化しているものです。地域の中小企業自身が、働く意義を体験にてこどもたちに教えることで、自らの企業価値を再認識するめにスタートしました。
その後、経営者から社員へ、更に、商店街やPTA保護者へと講師の範囲が広がり、YEGが蓄積したノウハウを地域に波及させる活動となりました。
アントレ・キッズとは、「世界で生き抜くための活動」として 現在日本を支える大人達から未来の日本を支える子ども達、 そして、子どもを育てる親を同時に 元気にさせる活動です。
福井商工会議所青年部 宮本武 氏
プレゼンの内容は、福井商工会議所青年部のメンバーみんなで集まって何度も話し合い、メンバーのたくさんの思いを8分間に凝縮させました。
この活動は、子供も会社も、成長できる機会になると思っています。活動を続けられたのは地域の方,PTAの方の協力が一番大きいです。遠いところにある大きな会社の社長さんではなく、「○○ちゃんのパパ」「○○くんのママ」がどんな仕事をしているか、なぜその仕事をしているかということを知ることが小学生にとっては大事だと思っています。幼稚園のころから知っている○○ちゃんのパパってすごい。そういう仕事だったのか!」と思えるし、いつも何気なく登下校時に通っている地域のお店や会社など、身近なところから仕事に対して、興味を広げることができます。
最初は、子供たちに地域の良さを伝えたいと思って始めましたが、やってみると、子供たちが目を輝かせて聞いてくれる姿を見て、大人も元気になるし、自分のやっている仕事の価値を再確認することができました。福井には中小企業が多いですが、その中小企業の人たちが元気になるということは福井が、そして、日本が元気になることだと思っています。
今回、大賞をいただきましたが、私たちはまだこれからだと思っています。昨年の夏、福井県内で行われている小中高のキャリア教育の実施母体が連携してキャリア教育フォーラムを実施しました。今後も、校種や団体の垣根を越えて連携しながら地域全体で子供若者を育てていきたいと思います。
この6年間一緒にやっていった仲間たちはとても大切な財産です。また、ご協力いただいたさまざまな地域の方々の中で自分たちも成長しました。これからも商工会議所青年部という若いパワーを最大に発揮し、活動を続けていきたいとおもいます。
中小企業のおっちゃんたちが元気になれば日本は元気になるんですよ。そう思いませんか?
シャープ株式会社・NPO法人気象キャスターネットワーク
シャープ(株)は、次代を担う子ども達を対象に、社会人との交流を通して職業観の醸成に繋がる各種の教育支援活動を展開しています。
気象キャスターと企業社員が環境問題の啓発や環境に配慮した生活への意識醸成と併せ、理系人材育成の為に科学技術や理科への興味を 高めることを目的とした「小学校環境教育」(特別支援学校で聴覚障がい児にも実施)。
製品の分解実験や模擬商品企画会議等のグループワークを通じ、ものづくりの工夫、楽しさを伝える「小学校ものづくり教育」。
工場見学に、環境やものづくりに関する内容やノウハウを融合させて机上では伝え切れない現場・現物を活かした「工場見学&環境/ものづくり教室」。
これらを通じ、学校の様々なニーズに応えると共にキャリア教育にも繋げています。
シャープ株式会社 CSR推進本部 松本 範昭 氏
「普及型キャリア教育部門」部門賞の名前の通り今まで約3000校の学校に行き、約19万人もの子供たちと出会いました。そして、このことを評価していただけうれしく思っています。
成功要因のひとつは、例えば「小学校環境教育」では、NPO気象キャスターネットワークと連携できたところだと思います。気象キャスターによる地球温暖化などのデータ提示や、解説によって地球環境問題を提起し、それを解決してくプロセスを当社が担当するという形でひとつのプログラムの中で、両者の強みを生かした役割分担ができます。また、実際にテレビなどでご活躍の気象キャスターさんが学校へ行くと子供たちは大変喜びます。それだけではなく、キャスターとしての話し方や伝え方など、「さすがプロ!」と思える部分が多く、話すことが若干苦手な社員も大変勉強になります。
子供たちは素直で、勉強したその日から家庭で電気を消すなど環境に配慮した行動をします。すぐに反応してくれるのはとてもうれしいことです。また先生方も「こういう実験の仕方があるのですね」といって興味を持ってくださり、お役に立てているなと思います。
それだけではありません。授業に行った当社の社員が子供たちから思いもよらない考え方やアイディアをぶつけられ、触発されたり、モチベーションがあがったりします。今後も、継続してたくさんの子供たちと出会いたいと思います。プログラム内容に関しても、時代に即したものであるかなどを検証し、質向上についても考えたいと思います。
また、当社は社会貢献活動として障がい者支援を行っているので、障がい者とともに生きるための教育プログラムの開発を行ったり、このような取り組みを海外に広げていくなど、さまざまに発展させたいと思います。
株式会社酉島製作所
社長直轄プロジェクトとして、各部署から選抜された若手社員8名(入社1年目~10年目)が、プロジェクトチームを結成。キャリア教育コーディネーター(NPO法人JAE)の支援のもと、本社工場近くの小学校へ3日間の出張授業を行う。
プログラムのねらいは、「ものづくりの仕事の楽しさ・やりがいを伝え、子どもたちの将来への夢や希望を育むこと」。
子どもたちにとっては、身近なあこがれの大人と出会う機会となり、メンバーにとっては、子どもたちに教える事を通じて自社の社会的意義や仕事への使命感を見つめなおす機会となっている。
株式会社酉島製作所 人事総務部キャリアデベロップメント課 吉川 友子 氏
このプログラムは、「地域密着型キャリア教育部門」という名前の通り、地域貢献を目的として始めました。当社は、直接のお客様が地域にいらっしゃるという業種ではありませんので、何か地域のお役に立てることはないかと考えたのが始まりでした。
しかし、実際に取り組んでみると、準備の半年間が当社社員にとって、とても貴重な体験となりました。小学生に自社の商品である産業用ポンプを理解してもらうというのは非常に大変な作業ですが、それだけではなく、忙しい日常業務の中で納期に追われている社員が、「ドリカム」というプログラムを企画運営するにあたって、会社での自分の役割、社会での会社の役割というものを再確認する半年間となるのです。その後行う授業の時間は、子ども達にもさまざまな学びや気づきがありますが、当社社員にとっても、自分の「仕事への想い」を改めて考える良い機会となります。
「こうしなさい」と言っても聞かない若い社員たちが、自分で「こうしたい」と思って変わっていく、そして、誰に言われるでもなく自ら変わった、自ら気づいたことはその社員の血肉となっていきいきと仕事を始めます。
ドリカムスクールを始めてから4年、通学路でドリカムメンバーが子ども達に声をかけられるようになりました。先日は、社内で必要な花束を買った際に、そのお店の方が、「子どもがお世話になりました」とおっしゃり、とてもきれいにラッピングしてくださいました。
今回、一緒に会場まで来てくれたコーディネーターの池田さんやJAEのみなさんと受賞を喜び、授賞式終了後は今まで関わってくれた35名のメンバー達にすぐに受賞を伝えました。今回の受賞は、このプログラムを推進してくれた社長をはじめ、気持ちよく関わらせてくれた職場の上司、同僚、メダル作製に関わってくれた人達等、この4年間の関係者全員でいただいたものだと思っています。
株式会社ウィザス
「意欲喚起特別講座」(普及型キャリア教育部門)
第一ゼミナールでは小6~中1の進級時・季節講習時に実施。「将来のことを真剣に考えている」が受講前55.5%→受講後89.5%「なぜ勉強するのかわかる」が受講前79.3%→受講後91.1%へ増加(添付資料①) 第一高等学院他では、「産業社会と人間」の授業のテキストとして使用。評価はレポートにて行い、本人の記述に合わせて本人が前向きになれるようなフィードバックを行う。進学決定率67.4%、進路決定率74.4%(第一高等学院)進級率92.2%(ウィザス高校・ナビ高校)の効果が出ている。 全国の学習塾他では各々、一過性の講座に留まらずに保護者会や面談時、進級時に活用頂き、保護者からの賛同の声も多く頂いている。
株式会社ウィザス 第一教育本部 副本部長 兼 高校受験統括部 統括責任者 錦織 彰 氏
当社では、第一ゼミナール・第一学院・第一学院高等学校を中心に全国の教育機関にて『意欲喚起講座みらい』を通じてキャリア教育を題材とした意欲喚起教育に取り組んでまいりました。今回の受賞はウィザスのみならず、全国で講座を実施していただいている教育機関の教員全員の自信につながるものと思います。
本講座の目的は、「将来を前向きに受け止め、今を本気で生きる子供たち」を育むことにあります。我々は、子供たちが勉強や生活の全ての根幹をなす“意欲”を継続的に出せるように促すことが、最も大切なことと考えております。今後も、講座を中心に“自分で自分を意欲喚起できる(内発的動機付けができる)”子供たちの育成に、全国の教育機関と連携しながら全力で取り組んでまいります。ありがとうございました。
清川メッキ工業株式会社
「めっき教室」(普及型キャリア教育部門)
めっき教室に込められたキャリア教育の思いとは、「中小企業が、地域と共に世界で生き抜くための活動!」です。めっき教室では、「職業を選ぶ時に大切なこと」を、まず家庭で話合いを行ってもらい、授業を向かえます。その後、グループディスカッションを経て、我々の考える「大切なこと」を話し、子ども達(保護者)との思いギャップについて、話し合います。最終的に、学校で学んだ事が、如何に社会で大事なことであるかを、めっき実験を通して体験を行います。この根本にあるのが、地域文化継承です。働くこととは、「地域や自分自身を知る事で世界を理解でき、利他の精神で社会に役に立つ喜びを実感することである」こと伝えています。
清川メッキ工業株式会社 専務取締役 兼 品質保証部長 清川 卓二 氏
キャリア教育とは「世界で生き抜くための活動」
清川メッキに取ってキャリア教育とは!「世界で生き抜くための活動」です。大げさに聞こえるかもしれませんが、実感です。
忘れてはいけないことは、企業の最大の目的は、拡大することではなく、継続することです。中小企業が継続していくことで、地域文化多様性(祭り、文化、技術、言葉、風習)が、継承されていきます。
「キャリア教育」を通して、自分、仕事そして地域を語ることができます。そのことで、語る大人が、聞く子ども達が、地域人、日本人としてのアイデンティティを深めることができ、地域を知ることで世界が見えるようになります。この賞を励みに、今度とも、めっき教室により、現在日本を支える大人達から未来の日本を支える子ども達、そして、子どもを育てる保護者を同時に元気にさせる活動として継続し仲間を増やして行きたいと思います。
株式会社熊谷組
「くまさんの環境教育」(地域密着型キャリア教育部門)
当社では、CSR活動の一環として、東京都内の小中高校生を対象とした環境学習プログラムを地域のNPO法人と連携しながら、2002年より実施しており、これまで延780人の児童生徒が受講している。本学習プログラムは、環境問題をテーマとしているが、単に環境に関する知識を習得するのではなく、社会人として必要な「自ら考え、自ら行動する」ための基礎をつくることを目的とし、それぞれの年代にあった学習方法を取りながら実施している。学習実施後には、学習者・学校・NPO法人・学習に参加した保護者・社内支援者の声を聞き、学習プログラムに改良を重ねている。
株式会社熊谷組 CSR推進室長 手島 眞之 氏
私ども熊谷組はものづくりの会社ですので、ものづくりのプロはたくさんおりますが、教育のプロや教育に専従する者はおりません。したがいまして、今回の表彰は、新宿区立津久戸小学校・練馬区立開進第二中学校・東京都立新宿山吹高等学校の先生方や保護者の皆様、また、NPO法人のブイカスや新宿環境活動ネットの方々のご理解・ご協力・ご指導の賜物であり、関係者全員に対するものであると思っております。
私どもが行っているダムやトンネル、そして、病院やマンションといったものづくりは、50年100年スパンで価値が問われるものですが、教育や人材育成とも相通ずる面があるように思います。当社が事業を進める中で学んでまいりましたことが、地域の方々に少しでもお役に立てるならば、皆様の事例も勉強させていただいたうえで、今後とも継続してまいりたいと考えております。
株式会社教育と探求社
「クエストエデュケーションプログラム」(地域ネットワーク型キャリア教育部門)
クエストエデュケーションプログラム「企業探求コース」では実在の企業におけるインターンシップを教室で体験します。企業6社の中から希望の1社を選択し、インターンとして、フィールドワークやアンケート調査などの実務に取り組みます。各企業の事業内容や社会における役割、企業文化などに触れると共に、ITスキルや文章作成などの技術も身につけていきます。後半では企業から出される課題(ミッション)に取り組みます。情報を集め、チームで話しあいながらプランを完成させ、プレゼンテーションを行います。チーム活動を通じて、社会や経済、働くことの意義についての理解を深め、自律的な学習姿勢と豊かな創造性を育みます。
株式会社教育と探求社 代表取締役社長 宮地 勘司 氏
過去7年間の私たちの取り組みがこのようなかたちで評価されたことは、ほんとうにうれしいですね。このプロジェクトをサポートしてくれた先生方、企業の方々とこの歓びを分かち合いたいです。
「クエストエデュケーション」の最大の特徴は、プログラムに関わる全ての人が学ぶということです。生徒はもちろん、先生も「教えない教育」を体験することで、ファシリテイティブな指導法を学びますし、関わる企業人の皆さんも、生徒の純粋性や創造性から実に多くのことを学んでいます。中学生や高校生が大人も思いつかないような、人間の本質に根ざしたビジネスや商品の提案をすることで、企業人の意識も変わります。大人が一方的に教え込むのではなく、子どもたちとともに学び、ともに未来をつくる。そんな社会の実現のために、これからも頑張っていきたいと思います。
千葉市・千葉大学教育学部
「西千葉子ども起業塾」(地域ネットワーク型キャリア教育部門)
小学4~6年生の子どもたちが協力し合って、西千葉・ゆりの木商店街を舞台に地域イベント「第三土曜市」を盛り上げるための会社を創り、地元商店街の関係者や実際に起業した現役の社長達のアドバイスを受けながら、商店街の来場客数・売上向上を目指して、経済の仕組みや地域社会との関わり、働くことについて学ぶ。フィールドワークによる課題の発見から、事業計画書の作成、銀行との融資交渉、資材の仕入れ、事業準備を経て、「第三土曜市」当日の事業実施まで、事業の立ち上げから実施までの流れを体験する。
千葉市・千葉大学教育学部、西千葉子ども起業塾、千葉大学教育学部教授 藤川大祐 氏
起業家教育というとレモネード販売に代表されるように子どもが一般の人々に何かを売るものが代表的ですが、「西千葉子ども起業塾」では子どもたちの「会社」が西千葉の商店街と契約を結んで地域イベント「第三土曜市」に貢献するビジネスを行う「BtoB(business to business)」型の社会起業家プログラムです。
私たちは、子どもは地域の宝であり、子どもの力は地域活性化において大きな役割を担いうると確信しています。実際、この取り組みを通して、子どもたちの活発な姿に魅せられた多くの方々が関わってくださり、地域に新たなつながりが生まれています。
千葉大学経済人倶楽部「絆」の方々をはじめ、ご協力くださったすべての方々に感謝しています。この素晴らしい活動を作り続けている千葉大学の学生たちを、誇りに思っています。
西尾信用金庫
「西三河ハイスクール・起業家コンテスト」(地域密着型型キャリア教育部門)
廃業率が開業率を上回り事業所数の減少に歯止めがかからない状態が続いている中、将来を担う高校生に実際のビジネスに携わる機会を提供し起業家精神の醸成及び地域経済の活性化を図るため、西三河南部の専門学科を有する県立高校10校・20チームを対象としたビジネスコンテストを開催。チーム内に社長・部長等を設置し、企業としての組織化を図ると共に、事業計画の策定・商品開発・広告・販売・経理にいたるまで幅広くビジネスを疑似体験できる機会を提供した。
西尾信用金庫 企業支援部 部長 樅山 幸彦 氏
当コンテストでは、参加する高校生をはじめ、学校の先生方や校長先生、地元企業経営者の方々のご協力を得て実施しております。おかげさまで第2回目となる「西三河ハイスクール・起業家コンテスト2011」も先日、盛況に終えることができました。この場をお借りして関係者の方々に改めて御礼申し上げます。
当初は事業所数が減少傾向にある中、若者の起業家精神を育むことで将来の起業家輩出につながればという思いで取り組んできましたが、実際には地元企業とのコラボレーションによる新商品の開発や、地元企業経営者が新たな刺激を受け、事業のアイデアを得るなどの効果もあり、「地域密着型の産学連携」の実践にもつながりました。今後も地域金融機関としてのコーディネート機能を発揮し、地域活性化に真剣に取り組んでまいります。また当コンテストを通じて、一人でも多くの高校生に起業に興味を持っていただき、将来の起業家育成につながればと期待しています。